2016年3月20日日曜日

勤めている会社が倒産したらどうなるのか?

私が以前勤めていた会社は倒産しました。

会社倒産といっても2通りあります。倒産して会社の再生を目指すタイプと会社を清算するタイプです。私が経験したのは会社の清算です。2通りと言いましたが実はもう1通りあります。経営者が逃亡して倒産手続きを行わないという場合があります。この経営者が「放置逃亡」する倒産が件数的には一番多いらしいです。

私は倒産するまで会社に勤めていましたので、清算タイプの会社倒産というものを従業員の立場で経験できました。なかなか経験できないことを経験できて良かったと思うことにしています。その頃の様子は以下のような感じです。



会社倒産の数ヶ月前に従業員への給与の支払いが滞り始めました。最初は給与の一部が未払いだったんですが、すぐに給与全額が支払われなくなりました。

社長は「海外のファンドから資金を調達できる予定だから、もう少しガマンしてくれ。」と言ってましたが、私を含めた従業員みんなは話半分に聞いていました。みんな倒産はもうすぐだなと分かってはいました。もちろん辞めてゆく人も多くいました。

そして給与支払いが滞りだしてから約5ヵ月後のある日、従業員全員の解雇と会社の清算が社長の口から言い渡されました。この日が会社倒産の日です。

みんな予測していたことなので、社長に詰め寄るような従業員もいなくて淡々とした雰囲気でした。退職に必要な書類は事前に用意されていて、全員に配られました。必要書類を準備していた総務の従業員は倒産日を知ってたわけです。

次の日からもう会社に行く必要はありません。行っても会社の前に倒産を告げる張り紙があって会社の中には入れません。

次の日からやるべきことは、まず諸々の手続きです。最初に会社からもらった書類を全てコピーしておきます。なぜコピーが必要かというと、手続きで書類を提出してしまった後に別の手続きでその書類を見せる必要があったりするためです。手続き時に退職したことや退職日を書類で確認してもらうわけです。

まず、健康保険の手続きをするのですが、任意継続するか国民健康保険に加入するか2通りの選択があります。私は任意継続する事にしました。任意継続から国民健康保険への変更は後でもできますが、その逆はできないのでとりあえず任意継続しておこうと考えたからです。

次に、職安に行って雇用保険の手続きを行います。自己都合で会社を辞めた場合は給付まで約3ヵ月の給付制限がありますが、会社倒産などの会社都合退職の場合は給付制限はありません。給付期間も長くなります。

それから、年金の手続きもあります。役所へ行って手続きしましょう。無職になるので「第1号被保険者」になります。

会社は賃金未払い状態で倒産したので、もう会社から未払い分の賃金を受取ることはできません。しかし「未払い賃金立替制度」によって国が未払い分を立て替えてくれます。ただし未払い分の8割だけです。管財人が手続きをしてくれますので、個人的な手続きは後日郵送されてくる書類に記入して返送すればOKです。

手続き的には一通り終わりました。

会社倒産から数日後、管財人から連絡がありました。「会社の備品を処分するけど、欲しい物があったら格安で購入できますよ。」

折角なので備品購入のために久しぶりに会社に行きました。元同僚とも久しぶりに顔を合わせました。備品の中ではPCのモニターが人気で購入する人が多くいました。PC本体は既に別の債権者が抑えていて購入することはできませんでした。備品の物色が終わったあとは、入ったことの無い社長室に入って社長の椅子に座って記念写真を撮りました。会社に来るのはこの日が最後の機会でした。

さらに数日後、「倒産手続きの裁判が行われるので参加しませんか?」という連絡がありました。債権者である元従業員も参加することができます。参加しなくても管財人に一任でOKです。参加したところで、たぶん返してもらえるお金が増えることは無いでしょう。無い袖は振れないでしょうし。社長に一言文句を言ってやりたい!、という人なら参加する意義はあると思います。私はもう既に倒産した会社は過去のことと思っていたので参加しませんでした。



倒産したときの様子は、こんな感じでした。放置逃亡ではなかったこともあり、従業員の立場なら会社が倒産しても普通に退職するのと大きく違うことは無かったです。倒産したら気持ちを切り替えて次を目指せばよいだけですしね。

しかし経営者はそうは行きません。中小企業の経営者はたいてい会社の借り入れで個人補償を求められます。会社が倒産したら自身も自己破産することになります。手続きには時間がかかるし債権者から怒号を浴びせられることもあるでしょうし、その心労は計り知れません。

私は従業員の立場ですが倒産の経験はできましたのでもう十分なんですが、現在勤めている会社も雲行きが怪しいです。同じことを2回も経験したくないなぁ・・・

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